| 「本葛づくりでいちばん難しいと言われているのは、昔から本葛の原料集めと言われています」と久助氏。戦後秋月の雑木林はほとんどなくなり、植林が行われました。そして木に巻きつく葛のかずらは、木の品質を落とすということから、そのほとんどが根を切られてしまいました。
現在、原料である寒根葛は、主に鹿児島県から掘り出されていますが、それでも30年から50年ものの寒根葛となるとそう簡単には手に入りません。しかも、現在でも手堀され、山から運び出すのも全て人力となると、原料費が高くなるのは避けられません。
「日本の本葛の原料は、中国産に頼っているのが現状です。そして機械によって効率よく生産するために、化学薬品等を駆使して1年半かかるところを短時間で作り上げてしまうのです」。正直に、昔ながらを貫けば年間の生産量はおのずと制限され、当然ながら商品も安いものにはなりません。「それでも私はあたり前のものをあたり前につくりたい。いろんな事情はあると思いますが、それはつくる側の考え方次第だと思うんです。だったら、私は食べるものをつくる者として、家族にも子供にも安心して食べさせられるものをつくっていきたい。そう思いますね。」
近年スローフードの考え方が一般に知られるようになり、料亭や和菓子店の他にも本物を使いたいという一般の主婦などに人気が出てきたという廣久の本葛。これからもこの伝統を守り、後世につなげて欲しいと願います。 |