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リポーターかずりんの取材こぼれ話

和やかな雰囲気のお教室でした。

 今村さんの能のお教室は、福岡市中心部のマンションの最上階にあります。取材に伺ったときには、もうひと稽古済ませ、みなさんでくつろいでいらっしゃるところでした。

 「今日は取材がありますので、始めるのをもう少し待っていようかと思っていたんですが、みなさん…私も含めなんですが稽古がしたくって、うずうずしてしまって(笑)」と笑顔で迎えてくださった今村先生。本当に温かなお人柄で、そのためか教室もとても和やかな雰囲気に包まれていました。生徒さんもみなさん優しく、言葉の端々から先生をとても尊敬されていること、そして親しみをもって集まっていらっしゃることがよくわかりました。


素晴らしい声に感動!!

 「インタビューの前に、実際に見ていただいた方がよくお分かりになりますでしょう」ともう一度稽古をしてみせてくださることになりました。そのときはじめて聴いた先生のお謡いの声は、耳の鼓膜に伝わるというよりも、体全体に響いてくるようでした。声が周りの壁や舞台に反響し、増幅され音の波が体に直に伝わってきて、オペラを聴くのとはまた違った、日本人のはらわたに沁みる声とでも言えばよいのでしょうか。長年鍛えられた素晴らしいその声に心から感動しました。

 後のインタビューの中で、この素晴らしい声について少しお伺いしたところ「もともと女性として声は低い方でしたが、男性の中ではまったくでした。懸命に唄っても『声が聞こえない』と兄弟子たちによく言われていました。でも何とか同じように声を出したいと男性の中で毎日毎日練習していたら、いつのまにか同じような低い声が出るようになったのです。」と語る今村さん。「舞も同じです。能というのは今日練習したからと、明日急に上手くなるものではなくて、心を込めながら何度も何度も練習を繰り返しているうちに自然にできるようになってくる。そういうものなんです。そこが難しいところでもあり、面白いところでもあります」


能は長寿の秘訣なり

 長年能の世界で生きてこられた今村さんですが、すべてが順風満帆ではありませんでした。

 一時は能をやめてしまおうと思われたこともあったそうです。「そのとき子育てもしておりましたし、車の免許も持たず、稽古場までバスで片道2時間かけて通っておりましたから」と今村さん。でもそのとき救いの手を差し伸べてくださったのが、この能教室のオーナーであり、35年にわたる生徒さんでもある堤さんでした。「自宅まで何度も何度もきてくださって、今ここでやめたらだめですよと説得されたときには、ありがたくて涙が出る思いでした」と今村さん。

 そして50歳のときには大病で入院されたことも。「しかし、その回復には、能で鍛えた精神力が役に立たように思います。能をする人には、長寿の方が多と言われています。能の先生方もそうですが、この教室にいらっしゃる堤さん(85歳)、田中さん(82歳)ともに80歳を超えても、とてもお元気にされています」。

 大きな声を出してお謡いを唄うことは、よいストレスの発散になるのではないかと今村さんはいいます。お里のお母様も長年能をされていたという田中さんは「私の母も、実際に90を超え亡くなるまで能をしていましたから、長生きというのは本当だと思います。私もできるところまで、続けていきたいと思っています。」と語ってくださいました。




能歴35年の堤さん(85歳)。長年能をされていたご主人の影響でご自分も始められたそうですが、そのときご主人にすすめられたのが今村先生。「女性でもしっかりとした素晴らしい謡を唄う方がいる。習うならあの先生に」と太鼓判を押されたとか。
 
お教室に通い始めて3年目。とにかく能が大好きな渡辺さん。「能の魅力は、自分がするのも楽しいですが、習うことによって観る楽しみもまた深まることですね。先生は教えるのがとてもお上手な方です。そして同じ女性なので、とても声が出しやすいです」。

能歴30年の田中さん(82歳)。背筋がピンと伸び、舞う姿も82歳とは思えないほどしっかりとされています。長く続いている理由は?とお伺いしたところ「とにかく、私は能が面白くてたまりません。だから続いているのです」と答えてくださいました。
 
今村さんら能楽師が復興活動をしている住吉神社能楽殿のイベントに参加したのがきっかけで、能を習い始めたという育村さん(能歴7ヶ月)。数回にわたるそのイベントでは、まず初日に能のお謡の一節を練習し、次には実際にお囃子に合わせてうたわせてもらい、そして最終日には、衣装をつけ舞うというもの。「それがすごく楽しかったこともありますが、私も先生の声の素晴らしさに惹かれて、能をはじめてみたくなりました」。




能のお教室の練習風景

 今村さんの能のお教室の練習風景を撮影させていただきました。ボタンをクリックすると動画をご覧頂けます。ぜひご覧ください。
 

今村先生、お教室の皆様、取材にご協力いただきましてありがとうございました。
今後のご活躍をお祈りしています。


以上、今回のこぼれ話しはおわりです。次回もお楽しみに。



リポーター かずりん
こんにちは。たんぽぽの特集を取材させていただくようになって4年目を迎えますリポーターのかずりんです。特集の他にもお料理、お花、切手、マナーのページを担当しています。現在3児の母。家事に育児に、そして仕事。めまぐるしい毎日なのに、なぜか痩せません。特集を通じて、みなさんの毎日に、いろんな風を吹かせることができたら幸せだなと願いながら、毎月元気に取材に出かけています。楽しんでいただけていますか?いつも道を間違えながらのずっこけ珍道中ですが、これからもがんばります!応援、どうぞよろしくお願いします!!

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