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パッチワークキルト

こうの 早苗さん パッチワークキルト作家 こうの 早苗さん

1954年福岡生まれ。広告会社のグラフィックデザイナーを経て、結婚出産とともにベビー服、子ども服などをつくり始め、パッチワークに興味を持つ。フレンチカントリーショップ「デ・トゥークール」「こうの早苗パッチワークスクール」のオーナー兼デザイナー。キルト制作、フラワープリントの生地デザインをはじめ、全国各地の講習会や「コットンタイム」(主婦と生活社)に創刊号からレギュラーページを持つ。その他著書多数。

 福岡の中心部、住宅街の一角にこうの早苗さんのショップ「デ・トゥークール」はあります。民家を改装した三角屋根の白いお家。お家の周りには丹精込めて育てられた薔薇の木が緑を添えています。

 かわいらしい木製のドアを開けて中に入ると、1階は作品とキルトの生地やレース・ボタンなどの小物が販売されているショップで、2階がパッチワークスクール。生徒さんは全国各地、遠くはお隣韓国からも通ってこられています。

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●かわいいベビー服がつくりたくて

 「よく洋裁学校を出られたんですかと言われるんですけれど、洋裁は一度も習ったことがないんですよ」と朗らかな笑顔でお話しになるこうのさん。中学生の頃、グラフィックデザイナーに憧れてすぐに通信教育で勉強を始めるなど、自分の夢をはっきりと持っているお子さんでした。手芸とは無縁だったと言いますが、結婚をし新しい命に恵まれ、子どものためにとベビー服を作り始めたことがきっかけだったと言います。「その頃はまだ、自分が思うようなベビー服があまりなくて、ないなら自分でつくろう、そう思ったんです。木綿が好きでしたので、白い布をたくさん買ってきて、好きな所にタックを入れたり、レースをつけたり。ボタンも一つ一つ色を変えてみたりと、つくってみるとそれが面白くって。止まらなくなってしまったんです」と当時を振り返るこうのさん。肌着から洋服、布団にベッドカバーとつくっていくうちに、ある洋書に布を継ぎ合わせた綺麗なカバーが載っているページを見つけます。それがこうのさんとパッチワークとの出会いでした。「まだ日本ではパッチワークという言葉すら知られていないような時代でしたから、日本語訳の解説書などもなく、見よう見真似でつくりはじめました」。

パッチワーク教室に飾られていた先生の作品。クリスマスにピッタリのかわいいリースもありました。

●主婦のあいだで大評判!
ショップには先生のキルト作品や小物、バックなどが所狭しと置かれています。

 つくる楽しさに目覚めたこうのさんは、家事・育児の合間をぬい、それこそ朝から晩まで寝る間を惜しんでつくり続ける毎日でした。

 「子どもが寝てからパジャマの型紙をとって布を裁断すると、次の日にはもうできあがってるなんてことも、よくありました(笑)」。そうやって洋服から小物、ベビーカーにかけるバッグとつくっているうちに、周りのお母さんからそれいいねと言われるようになり、次第に教えてという声が集まってくるようになったのです。「最初はみんなで集まって何かつくろうというような感じで、洋服や小物をつくっていたんですが、だんだん人数が増えてきて、教室というかたちでシステムをつくっていかないと、統制できないようになってきたんです」。やがてこうのさんの作品は雑誌社の目にとまり、作品をまとめた本が出版されるようになりました。するとますます注目度は上がり、イベントや講習会などいろんな仕事が舞い込むようになっていったのです。


●『絶対に何かできる人だから』

 「最初に計画があったわけではないのです。他の親御さんと同じように、ただ子どもの幸せを願ってつくり続けていただけでした。けれども私の場合は、それがいつのまにか仕事になっていたんです。今だに自分の目の前で起こっていることが、信じられない気持で毎日を過ごしているというのが本当のところです」と語るこうのさん。でも仕事として一歩前に踏み出せたのは、亡くなったご主人の言葉があったから。「主人が急死する前に言ってくれたんです。『家にいるのはもったいない。絶対に何かできる人だからお店をやりなさい』と」2週間それこそ毎日のように説得するご主人に押され、意を決してお店を出すことに。しかし念願のお店が開店して1週間後、ご主人は倒れ、帰らぬ人となってしまいました。

大好きな薔薇の花をモチーフに先生がデザインした布のコレクション。布見本用につくられたバックも素敵です。

●楽しい思い、いい思いを込めて
2階のキルト教室の様子。今日は巻きスカートづくりが行われていました。スカートの布はメーカーから直接取り寄せた高級感ある生地。事前に好きな生地を選んで参加します。

 「作品をつくるときには、一つ一つにいろんな思いを込めながら縫いあげています。ですから作品集を見ると、これはどんなことを思ってつくっていた、これは何と、全部言うことができるくらいです」とこうのさん。長い人生の中で、みんないろんな思いを持ちながら生きている。そのいいことも悪いこともぶつけるように作品をつくりあげていく。それもありだと若いころは思っていました。でも最近は、さまざまな思いが作品に残るからこそ、いい思いを込めてつくって欲しいと思うようになったと言います。「これだけたくさんのチャンスを与えていただいて、今本当に仕事が楽しいんです。ですから関わってくださったスタッフ、生徒さんやいろんな方々に私ができることは、皆さんにどれだけ楽しんでいただけるかということなんです。パッチワークを通して、そのお手伝いが少しでもできたらいいなと考えています」と微笑むこうのさん。

 「パッチワークには、特別な技術など必要ありません。針と糸さえあれば誰にでも簡単にできるものです。パッチワークを通して私は本当に多くの人と出会いました。はじめて訪れた場所、それが外国であっても日本であっても、パッチワークという共通項で会話ができる、心が一気に通じ合える感動をたくさん味わうことができました。パッチワークは家族への愛情から生まれるもの。そういう意味では、国は違っても、同じ女性として家族を思う気持ちは同じなんだと思います」。

 最近のこうのさんのテーマは『健康と美とパッチワーク』。パッチワークという同じ楽しみを共有する仲間として、共に健康で美しく年を重ねていきたいという願いがそこにはあります。



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リポーターかずりんの取材こぼれ話 ■お問い合わせ
株式会社パンデピス ショップ「デ・トゥークール」 
お問合せ/092-524-9686 
住所/福岡市城南区長尾2丁目22-56

■ホームページ
http://www.paindepices.jp/
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