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卵に夢をのせて

笠田 和代さん 卵の専門店『卵屋(らんや)』 笠田 和代さん

1948年、北九州市小倉生まれ。西南女学院短期大学卒業。家業の養鶏・卸し業を経て、1994年(有)卵家設立。厳選卵とお菓子、ギフトセットの販売。インターネットにて通販も行う。

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●夢は卵のギフトのお店

 養鶏場を営む両親の元に生まれ育った笠田さん。幼い頃、よくお母さんにお使いを頼まれ、近所のお宅に卵を届けていたと言います。「かごに入れられた卵を差し出すと、どの人もみんな喜び、笑顔で受け取ってくれました。そのときの笑顔が忘れられなくて。『卵っていいものだ』という思いがずっと心の中にあり、卵のギフトのお店をつくりたいと思ったんです」。両親の後を次ぎ、お兄さんと共に養鶏と卵の卸しの仕事を手広く営んでいた笠田さんでしたが、47歳のときに決断。周囲の反対を押し切り、資金ゼロの中「卵家」をスタートしました。


●シュークリームが口コミで評判に
 「キッチンと、販売コーナーがあるだけの小さなお店。卵だけではお客さんが来ないと、1年目にカステラ、2年目にはシュークリームをつくり始めました。しかし、最初は焼いても焼いても一つも売れない日が続きました」と当時を振り返る笠田さん。火がついたのは、地元のラジオ放送でお客さんが店のシュークリームを紹介してくださったのがきっかけでした。新鮮な卵をたっぷりと使い、バニラビーンズの入った美味しいカスタードは、注文を受けてからシューに入れます。人気が人気を呼び、シュークリームを待つお客様で、いつしか店内は一杯になっていました。

 そこで立って待つお客様にゆっくりして欲しいと、20席ほどの休憩室をつくり、無料でコーヒーとお茶をサービスしたところこれもまた大評判に。わざわざ足を運んでくださるお客様に、無料とはいえ、コーヒーも美味しいものをお出ししたい。その思いから笠田さんは豆にも、そして焙煎の時間や挽きかたにもこだわりました。 そして幸せの連鎖はまだまだ続きます。生命の誕生や未来の夢を連想させる卵は縁起がいいと、出産祝いや結婚式の引き出物として喜ばれ、卵のギフトも次第に好評を得るようになったのです。


●人の思いがいい卵づくりにつながる

 長年養鶏業を営み、いわば卵のプロである笠田さん。どんなところにこだわり、卵を選ばれたのか、お話しを伺ってみました。

 「まず、自分で行ってみることが基本です。光と風の通る清潔な鶏舎で、鶏が元気であること。そして何より経営者が鶏に愛情を持ち熱意があることがいちばんです」と笠田さん。実際に行ってみると、その方達が本当に鶏を可愛がっているのかがすぐにわかると言います。「人の熱意というのは本当に大切で、卵の味にもちゃんと出るんです。こんなエピソードがあります。あるとき、届いた卵の味がいつもと違う気がして、飼料でも変えたのかと問合わせてみたのです。すると何も変えていないという返事。しばらくして、その養鶏場からまたお電話があり『しいて言えば場長が入院していることくらいです』と言うのです。後でわかったことですが、その場長は鶏が食べた後、もう一度ちらばった餌を集めて残りも全部食べやすくしてあげていたそうなのです。餌も何も変えていない。その一手間の愛情が、卵の味に出ていたのです」。またある農場では、機械切りではダメだと堅いかぼちゃとにんじんを手で切って与えたり、活性水や広葉樹の樹皮から抽出した森林浴成分を飼料にくわえたりと、どの養鶏業者も、手間と工夫、そして愛情をたくさんかけながら鶏を育てています。


●つくる人の思いを届けたくて
 「うちで扱っている『庭先たまご』は動物性たんぱく質を与えずに育てているため、小さなお子様が初めて食べるたまごとして、安心して薦められます」と卵となると話は尽きない笠田さん。店内には来たお客様に卵のことを詳しく説明する笠田さんの姿がいつもあります。そして卵パックの中には、卵の特徴を分かりやすく書いた説明書きが必ず入っています。一つ一つ大切に売られる卵たち。「飼っている人の思いがあるからこそ、いい鶏になり、いい卵にもなるのです。だからこそ、私もそれをお客様にお伝えしたい、そう思うのです」。

●多くの出合いに感謝

 美味しいお菓子がずらりと並ぶ店内ですが、厨房も含めスタッフは主婦がほとんどで、お菓子作りを専門に学んだ人は一人もいないというから驚きです。「レシピ通りにつくっても、腕の振り方、力の入れ具合ひとつで味がまったく違ってくるほどデリケートなお菓子づくり。その味を守るために、スタッフ一人一人の努力は大変なものです。そして何より”いいものをお届けしたい“という私と同じ気持ちでいてくれる。その思いに感謝しています」と笠田さん。

 更に卵家のお菓子が美味しいのには訳があります。それは洋菓子界の有名なシェフとの出会いです。実は、そのシェフから教えていただいたのが、店を救ったあのシュークリームなのです。「お会いするのも難しいと言われる方に直接教えていただけるのですから、こんなに幸せなことはありません」以後、毎年一つづつのペースで新しいお菓子を教えていただいているそうです。

 そしてもう一つの出合いは、無農薬の有機米をつくられている遠藤五一さんとの出会いです。遠藤さんは全国米・食味分析鑑定コンクールで2002年より毎年金賞を受賞されている方。手に入れることさえ難しいと言われる遠藤さんのお米を、卵家のたまごかけごはん(毎週火・土限定)として食べることができます。「この仕事を始めて、私は本当に多くの人に出会い、人の温かさというものを知りました。ですから、その温かさや感謝の気持ちを、今度はうちのスタッフに返していきたい。なぜならきっとその思いは、スタッフ一人一人からお客様へと伝わっていくと思うからです」。

 みなさんの今後の活躍をお祈りしています。



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リポーターかずりんの取材こぼれ話 ■お問い合わせ
「たまごの専門店 卵家」
北九州市小倉南区湯川4-3-11
TEL 0120-511-522

■ホームページ
http://www.ranya.co.jp
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